南営洞・対共分室

地下鉄1号線ソウル駅から二つ目の南営(ナミョン)駅、歩いてすぐのところに黒レンガの少々重苦しい雰囲気を漂わせる建物があります。1980年代、全斗煥(チョン・ドゥファン、1931-)大統領は独裁政治を行い、反政府活動をする運動家や学生らにスパイ嫌疑をかけて取調べを強化しました。民主化運動の弾圧機構として治安本部・対共分室が設置されましたが、1976年に完工した南営洞対共分室の設計は、韓国近代建築の巨匠とも言われる金壽根(キム・スグン、1931-1986)によるものです。この建物内でひどい拷問が行われ、精神に異常をきたす人、命を落とす人もいました。現在は、警察庁人権保護センターになっています。

 

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生前、金壽根はこの建物について口を開くことはありませんでした。建築家は知っていて設計したのか、知らないで設計したのか。2012年11月には「南営洞オフィスビルディング」と書かれた設計仕様図の公開についてのニュースがありました。本当のことはわからず、韓国建築界での謎となっています。まず目に付くのが建物上部の細長い窓。拷問が行われた調査室は5階にありました。

 

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建物の周りには当時のままに、有刺鉄線が張りめぐらされています。

 

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調査の対象になった人たちは、正面入口でなく目隠しをされたまま裏口から入ったといいます。入口右側にアールがきいていますね。

 

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普段は予め連絡をしておくとガイドさんがついて、説明してくれるそうです。この日は人権保護センターの職員さんが、代わりに説明してくれました。建物については、今回二度目の訪問というイェソンさんのほうが詳しく(笑)、いろいろと説明してくれました。全斗煥大統領の独裁政治、民主化運動についてほんのちょっとの知識しか持ち合わせていないので、ピンと来ないのが正直なところ。左右合わせて16の調査室のある当時最上階だった5階(現在は増築して7階まであります)、緑色で塗られているからか怖くて暗い印象はありません。

 

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部屋のドアは、ある二つの部屋をのぞいて閉ざされています。ある一室はドアがなくガラス壁があり、中の様子を見られるようになっています。そこには不自然な配置の浴槽とトイレ、その横に簡易なベッド。中央には、この部屋で行われた水拷問によって命を落としたソウル大生の朴鍾哲(パク・ジョンチョル)の写真が飾ってあります。1987年1月に起きたこの「朴鍾哲拷問致死事件」が民主化運動の起爆剤となりました。

 

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取調べの椅子とテーブルは固定されています。

 

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もう一つの部屋は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時、「開かれたウリ党」議長を務めた金槿泰(キム・グンテ、1947~2011)の拷問が行われたところ。彼もまた民主化運動のリーダーとして活動をしたため、弾圧の対象となりひどい拷問を受けました。防音壁、細い窓。金槿泰氏は、拷問による後遺症に苦しめられたそうです。彼の自伝「南営洞」をもとに2013年映画「南営洞1985」が上映されました。こちらに詳細があります。

 

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4階は、朴鍾哲記念館となっています。胸が痛い…

 

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リズミカルに様々な大きさの窓を配置。

 

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南営駅から。ここからはなんとなくユーモラスな顔に見えますよね。民主化の闘いの歴史。知らないことが多すぎるなあと、改めて思った見学になりました。

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