cafe pot-R

仁川(インチョン)というエリアは、開港以降の歴史について興味を持ち、愛し、大切にする地元の人がたくさんいます。仁川の歴史に関する研究も盛ん、地元の方のブログは大変マニアックな情報が詰まっていますし、自治体などが行なっている歴史探訪などのプログラムが大変充実しており、私の仁川探訪に大変役に立っています。

懐かしい、残してほしいというのは、あくまでも日本人からの視線にすぎないことをここで強調しなければなりません。今回紹介する建物を通じて、韓国に残る近代建築が語る歴史の重さや韓国の人々の思いと、私の考えには大きな隔たりがあることを思い知らされたのでした。あんまり語ると重くなるので、割愛。2012年8月中旬、仁川の旧日本人街にオープンしたばかりの「cafe pot-R」を紹介します。

「cafe pot-R」は、地下鉄1号線仁川駅から徒歩約8分。旧日本第1銀行(韓国近代最初史博物館) のはす向かいにあった3階建ての古い町屋作りの家をリノベーションした、おしゃれなカフェです。

 


この家は、仁川開港から日本統治時代にかけて営業していた荷役会社の事務所でした(左写真はチェ・イェソンさん提供)。この建物の主人は広池亭四郎という人で、1885年に仁川にやってきて荷役会社を組織しました。 家の1階が事務所、2階と3階が住居として終戦まで使われました。古い木造のため実はちょっと傾いています。ですがそのままの姿をいかす方向でリノベーションを進めたそう。

日本の伝統的な店舗住宅形式である町屋作りの家がこうして残っているのは大変珍しいそうです。私がカフェを訪れたとき、リノベーションのアドバイザーを務めたという某教授がいらっしゃいました。日本統治時代の日本家屋を個人でリモデリングして店をやっている例は、韓国国内では数例しかないといろいろ教えてくれました

※2012年以降、このエリアに次々とリノベーション家屋が登場、カフェやギャラリーなどがオープンし活気づいてきています。(2015年10月加筆)

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仁川のこの通りを行き来するたび、古いまま残っているこの家がどうなるか気になっていたのですが、2012年3月から工事が始まり、新しくカフェとして生まれかわったので個人的には大変嬉しく思います。

家は三代に渡って住んでいた方から、仁川の近代建築物保存活動をしている店長に引き渡されました。店長は、個人が指定文化財でもない普通の古い家を近代歴史の重要な証人として活用することで、過去にあったことが二度と起こらないよう、どんな恥ずかしい歴史であれずっと記憶していくことが自分の使命、とカフェを開いたそうです。仁川は王宮や伝統家屋があるわけではないけれど、近代の歴史が始まった都市として、仁川に残る近代建築を文化遺産にしていきたいと言います。

 

 

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木の窓だけでは冬は越せません。アルミサッシが外に見えると景観を損なうため、さらに木の窓枠をつけたので三重構造になっています。

 

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入口の横は通路になっていて、その壁には昔の仁川の鳥瞰図や、この家の歴史、工事の過程などがパネルで紹介されています。奥には庭が。そして2階へ続く階段があります。

 

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いやー、こんな畳の部屋を仁川で見るとは。ソウルではまずお目にかけない。釜山などにはよくロケでも使われる料亭みたいな店でこんな感じのを見ることがありますが…

 

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カフェのメインメニューは、おしるこ、あずき氷(パッピンス)がそれぞれ6,000ウォン。そして手作りの長崎カステラははちみつの優しい甘さとしっとりした食感で、なかなかオススメ。ひと切れ2,000ウォンです。

 

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入ってすぐ前にある絵葉書コーナー。仁川の昔の広告や、風景写真など珍しいものが手に入ります。一枚1,000ウォン。

 

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こちらはスタンプノート。販売しているのかディスプレイなのかは未確認。左に見えるのが、店長がデザインしたオリジナルロゴ。ところでpot-Rってどういう意味なのか、今度行った時に聞いてみよう。

 

 行き方:こちらの地図を参考に韓国近代最初史博物館へ。その建物の向かい側にあります。
電話:032-777-8686

http://pot-r.tistory.com

7 Comments
  1. 韓国在住~どうですか?写真も文章もますます腕を上げてるようで、感心しました。風景の切り取りがいいですね。元気でやって~

    • 立川さんーーー!お元気ですか?このブログご覧になっていただいたなんて本当うれしいです。
      ソウルで働きながら時間を見つけては散歩してます。いる間にいろいろなところをブログで紹介できたらな〜と思います~。これからもヨロシクデス!

  2. はじめまして。
    いつもブログを拝見しております。
    今日、こちらに寄せて頂きました。
    中華街に比べると、とても静かでした。
    さびしさをも感じました。
    でも、こちらのお店はたくさんのお客さんで
    賑わっておりました。
    リノベーションした店がコンセプトに
    あっていないのかなと、感じました。
    ただこうした試みはいいと思います。
    この国では議論があろうかと思いますが。
    なかなか、訪韓して観光を集中してできませんが
    こうして、ブログでいつかいくかもしれない
    街をみるのは楽しみです。
    また、よろしくお願いします。

    • ぽんたさん

      はじめまして。コメントありがとうございます。おっしゃるとおり仁川のチャイナタウンの賑わいに比べると近代文化通りはさびしさも感じられる通りかもしれませんね。
      10余年前は本当にさびしい通りで、いろいろな建築物も放置といいますか、このままでいいんだろうかと思えるほどの扱いを受けていたと聞いております。なのでこうして
      近代建築保存の通りがあるということだけでも、そしてポットアールの保存の目的(恥ずかしい歴史を忘れないための負の遺産として残していく、という)は日本人からするとなかなか
      受け入れられないところもあると思いますが、何はともあれのこっていくこと、それ自体がありがたいと思っております。

      こちらこそよろしくお願いいたします。

  3. りうめいさん、こんにちは!
    カフェ「pot R」について検索したら、こちらにたどり着きました。さすがりうめいさん!めちゃ詳しくて、勉強になります。勝手にリンク貼らせていただきました。

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