100年のノスタルジア

 

龍山(ヨンサン)の厚岩洞(フアムドン)にあるカフェ「キデケデ」では、路地裏学から再生建築などいろいろな興味深い講座が開かれています。第1回は恥ずかしながら、この私が東京下町の向島・京島を紹介しました。   今回私が参加した講座は「映画の中のソウル、100年のノスタルジア」。1910~1970年代後半の映画作品に出てくるソウル(と少し釜山)の様子を見ながら、近代化と都市の変化について考えてみようという内容でした。 講師はドキュメンタリー作家として活躍されているチャン・サンイル氏。ちなみに講座の企画者は、こちらのブログによく登場するランスキー先生こと金蘭基(キム・ランギ)先生です。

 

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チャン・サンイル氏は杏村洞(ヘンチョンドン)にあるディルクシャに関するドキュメンタリー作品を制作。「キデケデ」での上映会は大変盛り上がったといいます。今回の講座も時間をかけたすばらしい資料を準備。 ソウルの風景を探すために観た映画は100本を超えたといいます。古い映画はとても退屈で観るのを敬遠していたそうですが、まるで宝探しのような気分になり、あんまり楽しくて中毒になったかのように風景探しに没頭したと楽しそうに語っていました。

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そのときの時代をよくあらわした映画作品を何本か紹介してくださいました。映画の誕生から韓国の映画産業、インフラ(電気・ガス・交通など)、その時代の文化中心に、いろいろな方面から韓国の近代化についてわかりやすく説明してくださいました。 紹介映画は以下の通り。

 

1920~ 「アリラン(1926年)」
1930~ 「青春の十字路(1934年)」「迷夢(1936年)」
1940~ 「授業料(1940年)」「半島の夢(1941年)」「自由万歳(1946年)」 「検事と女教師(1948年)」
1950~ 「寡婦の涙(未亡人とも、1955年)」「自由婦人(1956年)」 「ソウルの休日(1956年)」 「青春双曲線(1956年)」
1960~ 「豚の夢(1961年)」「血脈(1963年)」
1970~ 「ウォーカーヒルで会いましょう(1966年)」「星の故郷(1974年)」「冬の女(1977年)」
1980~ 「風吹く良き日(1980年)」
  

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韓国で最も古いと言われる作品「アリラン」のフィルムは現存していません(どこかにあるかも?)。よって今のところ「青春の十字路」がフィルムが現存する韓国映画の最古の作品となります。こちらは無声映画なので上映時には弁士と楽隊がつきます。観る機会がありましたが大変面白かったです。ソウル駅(今の旧ソウル駅舎)がたくさん出てきます。

 

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写真はこちらより。 「授業料」は授業料がないためお金をもらいに、水原(スウォン)から親戚のいる平澤(ピョンテク)まで歩いていく少年の話です。先生は日本人で日本語を話していました。面白いのがキュウリ畑で、地面に這わせるようにしています。その映像を見せていただきました。

 

 

「寡婦の涙」は「未亡人」というタイトルもあり、朴南玉(パク・ナムオッ)という女性監督の作品です。子どもをおんぶしながら現場で監督を務めたというエピソードの持ち主で、未亡人となった女性の現実と葛藤を描いています。チャン・サンイル氏のお気に入り作品でもあります。

 

 

「青春双曲線」は国民作曲家として知られる朴是春(パク・シチュン)が医者として、三姉妹のコーラスグループである金シスターズが特別出演。金シスターズが看護士さん姿で歌を歌っている姿にびっくりしました。こちらの映画では釜山の様子を見ることができます。

 

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映画「血脈」では徳寿宮(トクスグン)内の石造殿(現・大韓帝国美術館)が印象的。崔戊龍(チェ・ムリョン)はチェ・ミンスのお父さんです。

 

 

 

そうそうたる俳優陣の名演技が見られるということで、今度じっくり観たい映画です。チャン・サンイル氏はカメラの位置等からロケ地であろうという場所を割り出して、実際に訪れるということもしたそうです。 どの方面からソウル駅を見下ろすとそのアングルになるのか、実際行ってみてだいたいここだなとそこに立ち、その場所の変わりように驚くのが楽しかったと言っていました。 いや~本当尊敬します。

 

 

 

私が最も気に入った映画がこちらの「ウォーカーヒルで会いましょう」。当時の有名歌手が出演していて歌を披露してくれる音楽映画(ミュージカルともオペレッタとも表現できかねたのでこう書きました)です。   李美子(イ・ミジャ)や玄美(ヒョンミ)、韓明淑(ハン・ミョンスッ)なども出ています。あとHe6(チャン・サンイル氏によるとメンバーがちょっと違うらしい)やクイーンビーという女性GSグループがちらっと出てきてツボでした。ちなみに途中映像が見えないシーンが何ヶ所かあります。

 

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KBSスタジオも大変モダン。   お話は朝鮮戦争の際生き別れた娘を探してソウルに上京した老人とお供が、苦労の末娘を見つけてめでたしという内容です。冒頭に市庁が映し出され、小公洞(ソゴンドン)あたりのにぎわいが出てきます。朝興銀行とソウル銀行が並んで出てきた後にぱっと映し出される大きなビル。どのあたりなのだろう、今もあったっけ?と考えるだけでワクワクします。   ソウルの風景ということでいろいろな作品を教えてくださった氏に感謝です。     ところで、イ・ボンソンという美術監督が非常に気になります。さて調べるとしよう…

 

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