徳寿宮プロジェクト

ソウル市内にある朝鮮王宮の一つ、徳寿宮(トクスグン)では、9月18日から12月2日まで「徳寿宮プロジェクト」という展示が行なわれています。韓国の現代美術アーティスト9名が、徳寿宮の歴史と文化遺産をアートの視点で再解釈。その作品は、インスタレーション、パフォーマンス、メディアアートと多岐にわたっています。 映像での紹介はこちら(画面をクリック)

 

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徳寿宮は、1593年豊臣秀吉の侵略から避難していた宣祖(ソンジョ)が、ソウルに戻って王宮とした場所。その後朝鮮王朝第15代の光海君(クァンヘグン)が住み、慶雲宮(キョンウングン)と呼ばれました。1897年に第26代の王高宗(コジョン)が大韓帝国建国を宣言して慶雲宮を皇宮としましたが、1907年に日本の勢力に押されて日韓保護条約が締結されるなど、波乱万丈の近代歴史の舞台ともなりました。高宗の次の皇帝だった純宗(スンジョン)は長寿を祈願して慶運宮を徳寿宮と改名、現在に至っています。

 

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徳寿宮内大漢門をくぐってまず最初に見える咸寧殿(ハムニョンジョン)は、高宗の寝殿だったところで、1919年に高宗はここで崩御しました。ソ・ドホはインスタレーション、映像、そしてパフォーマンスによって高宗のいた空間の再現を試みています。
と、ここ全く見落としてました(涙)なぜならその隣にある徳弘殿(トクホンジョン)に目がいってしまって・・・徳弘殿は、明成皇后(閔妃)の魂殿として使用された景孝殿(キョンヒョジョン)が位置していたところで、高宗皇帝が主に外国使臣や大臣を迎えるための接見室として使用した建物。韓国の伝統建築と西洋風シャンデリアが不思議とマッチ。そしてデザイナーハ・ジフンが作ったアメーバのような椅子は、独特な雰囲気を漂わせていてとても印象的でした。

 

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静観軒(チョングァンホン)は、コーヒー好きだったと言われる高宗がお茶会を開いた場所です。ロシア人建築家サバティンが設計した韓洋建築物で、徳寿宮の中で個人的に一番好きです。この場所で不定期に「名士と共に」という講演が行われていて、映画監督や役者、声楽家、芸術家などの文化人のお話をコーヒーを飲みながら楽しむという内容になっています。

人が一人しかいなかったので、これはめったにないシャッターチャンスとカメラを向けたのですが、フラフラと歩き回るその人がちょっと邪魔でした。係員の人かな?と思って「すいませーん、ちょっと写真撮りたいので少しよけていただけたら・・」とていねいにお願いしたところ、全くのスルー。2度繰り返しましたが、また無視。何??聞こえてないの?と彼のシャツを見ると、なんたらかんたらとコンセプトめいたことが書いてありました。そうチョン・ソヨンという現代美術アーティストだったのですねえ。

 

 

『そのへんの人とっつかまえて、予告なしの休憩について語れ』(だいたいこんな感じの意味?)

 

(こちらの写真は美術館のサイトより)

 

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昔御堂(ソゴダン)は宣祖が崩御するまでの16年間を過ごした建物で、2階建てなのと彩色をしていないのが特徴です。こちらでは彫刻家イ・ソヨンの「涙」という作品が展示されています。王宮の女性たちが流したであろう涙は、そのまま韓国の近代史における歴史の悲しさもあらわしているとのことです。

 

 

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それと、こちらでは朝鮮王朝最後の王女、徳恵翁主(トッケオンジュ)へのオマージュ的展示が。無理やり日本に留学に行かされて精神に異常をきたしてしまった悲運の王女。彼女の幸せだった頃の時間を再現したというインスタレーションは、韓服デザイナーキム・ヨンソクの所有品を並べたもの。ここに王女の映像が浮かび上がって幻想的な空間になるとのことでしたが、私が行った時間に映像は見られませんでした。

 

 

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やはりというか、徳寿宮に来ると心が重くなりますね。まあ王宮はどこ行っても心重くなるのですが。景福宮内にあった朝鮮総督府の建物の残骸が天安(チョナン)の独立記念館の野外にあるのを見るのもこれまた、つわものどもがなんとやらで心痛く…宮内の近代美術館にもアーティストの作品が展示されています。興味のある方はどうぞ。


2 Comments
  1. このイベントにいらしたのですね。わたしも教えていただいて行きたい、と思っていたのですが。。。日程が合わず断念。ブログ拝見して行った気分になりました。ありがとうございます。それと、リンク張りました。

    • >ありりんさま
      リンク、ありがとうございます!本当に嬉しいです!こちらもいろいろ準備中ですので、できあがり次第お知らせしますね!
      秋夕の連休時で人が多く、しかも昼だったのでプロジェクトのきっと3割ぐらいを見たに過ぎないと思いますが、やはり思ったとおりよかったです。この国って近代を見つめて自分の解釈を表現するって本当難しいことだと思うんですねえ、多分。悲しみを表現するものもあれば、そんな悲しい日々の中での楽しい日々を表現したものもあって・・・

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