貞陵3洞・スカイアパート

“グッバイ、スカイアパート”
フェイスブックでスカイアパートの撤去が決まったことを知りました。スカイアパートはソウル北部、城北区貞陵3洞にある集合住宅です。1969年から第6棟、第1,3,5棟と計5棟建てられました。

 

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2005年に貞陵3区、8区域再開発地区に指定、その後しばらくして近くに北漢山があるため自然景観地区に指定、4階以上の建物が建てられなくなりました。修繕されることなくアパートは老朽化、その姿が雰囲気あるということで映画の撮影地にもなりました。キム・ギドク監督の「うつせみ(2004年)」で観たときはこんなに古い集合住宅があるのかと驚いたものです。

2008年には安全診断で、老朽化激しく今にも倒壊の危険性があるというE級診断されました。不動産取引も禁止、住民は財産としても処理できなくなった上、自主的な退去が求められました。居住者のほとんどがお年寄りや低所得者で、他の賃貸住宅への移住は管理費が高くつくのと月ぎめの家賃でかなりの負担になります。最終的に14世帯が残ったのですが、管轄の区(城北区)が彼らの移住を実行、2016年12月末にようやく建物を撤去する運びとなりました。

 

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6号棟はすでに2008年4月に撤去されてありません、4棟が残っている状態です。

 

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“グッバイ、スカイアパート”の展示はアパートで行われるとばかり思い、まず先にアパートへ向かいました。すると小高い丘にこのように養生シートですっぽりと覆われたものが見えました。しばらく周囲をぐるぐるまわってしまいましたが、同じく展示を見に来たであろう人たちも同じようにぐるぐるしていましたね。15分くらい回ってようやくシートとシートの間から中に入ることができました(汗)

 

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赤い鉄の棒で補強してあるのが特徴の古いアパートです。国民大学のほうに用事がある際、171番バスを利用するのですが、スカイアパートは171番バスの発着場のすぐ近くにあり、その老朽化した姿を見ることができました。それと内部循環道路からも。周りの建物と明らかに違うオーラを出していました。

 

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木枯らしの吹く夕方、冬の低い日ざしが長く長く延び、アパートを照らしていました。

 

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中にも入ってみました。黒カビの斑が壁のあちこちを覆っていました。これは生活していたときにもあったのかはわかりません。ただ築47年、メンテナンスをしていればここまで老朽化はしないのではないかな、というのが素直な感想です。

 

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屋上に上がってみました。その美しい眺めにしばし呆然。北漢山がこんなにきれいに見えるなんて。中央にあるコンクリートの箱のようなところにLPGガスを入れて使っていたそうです。

スカイアパートもそうですが、1960年代後半に作られたアパートの多くは、小高い丘陵に建っています。これは土地の確保が容易だったこともあるかと思います。この頃ソウル市は、不良住宅と住宅難を解決するために市民アパートという公営集合住宅の建設を大々的に進めました。ブルドーザー市長と呼ばれた金玄玉(キム・ヒョンオク)の強力なリーダーシップによって3年間に32地区、425棟を建設するというプロジェクトです。しかし1970年4月、麻浦区の臥牛アパートが手抜き工事によって竣工するや否や崩壊、大惨事となりました。

そんな中、城北区には市民アパートが貞陵と(月谷ウォルゴッ)に建設されました。アパートブームで、市民アパート近くに他にも民間業者によってもいくつか建てられました。スカイアパートもそのひとつというわけです。

 

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第6,1,3,5棟の順で、2と4はありません。4は“死”を表すからでしょうね。第6棟から建てられた理由と、なぜ第2棟がないのかはよくわかっていないのだそうです。

臥牛アパート崩壊事故により、ソウル市内の市民アパートも危ないということで貞陵の市民アパートも一部撤去されることになりました(1992年までには完全撤去)、入居してすぐに建物が危ないというのは大変なストレスだと思います。市民アパート入居者は近所にできたスカイパートや、江南(当時は田舎)に移りました。

 

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“グッバイ、スカイアパート”の展示会場へと向かう途中、このような横断幕がありました。
“慶祝、sb貞陵スカイアパート再整備推進”と書いてありました。

 

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展示は2016年11月25日~12月1日まで。貞陵町づくりの芸術団体の主催です。

 

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住民たちの生活用品がそのまま展示されていました。これはあるおばあさんの部屋を再現したものだそうです。

 

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向かって右側のコーナーでは住民たちへのインタビュー映像もみられるようになっていました。中央には住民たちの思い出の品、アルバムなどが展示してありました。

 

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“グッバイ、スカイアパート”
ソウルの歴史的なアパートがまたひとつ消えたことをここで少しお話し、記録し、記憶したいと思います。

 

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