慶山・西上キルの建築散歩

慶山・コバルト鉱山その2 の続きといきたいところですが、慶山新聞社のチェ・スンホ氏とカフェでお会いするのは午後4時半。それまで街歩きを楽しむことにしました。もっとも慶山に来た目的は西上(ソサン)キルをメインとした街歩きです。国鉄慶山駅から徒歩約15分のところにあるこの通りは約1キロメートルほどの長さで、周辺には数は少ないものの、日本統治時代に建てられた建物も点在しています。

 

西上という地名の由来はいろいろあるそうです。慶山邑城西門の外側にある村なので、西門前に市が立ち竹(テナム)や萩(サリッテ)の枝でできた道具を売っていたのでテサリと呼ばれていたので(そこからどうして西上になったのかはハテナ)、邑城の西側を流れる南川の真ん中あたりの小高い地帯に人々が集まって暮らし西上里と呼ばれていたので等々。正確な由来はよくわかっていないとのこと。

 


 

まずは1927年前後に建てられたという、慶山尋常小学校校長先生の官舎の跡探し。西上洞29−2、Daum地図ではすでにモーテルになっているところを確認した後通りを歩きました。できてそんなに経っていないようなモーテルがいくつか並んでいるのはちょっと唐突な印象。そのすぐ近くには斎場があり結構な人数の人たちが出入りしていました。官舎について詳しくはこちらの記事。書き手のおもいが伝わってきます。

 


 

旧慶山登記所、現在は自動車整備組合事務所になっています。1969年業務開始。登記所のもともとの正式名称は大邱地方法院慶山登記所といい、主に慶山の不動産登記業務を担当していたとのこと。西上キルは1980年代までは官公署が集まり、慶山の中心通りだったそうです。今は大部分の官公署が移転し、通りにかつてのその面影はほとんど残っていません。ほんとにほんとにのどかな町の普通の通りです。地元の人に何か聞いたらきっとこう答えるでしょう。

「なんにもないよ。なんにも見るところないよ」

と。けれどもどんな小さなところにも邑城があって(もちろんその前にも歴史があるわけで)、日本統治時代の都市計画で壁や門が壊されて道ができて、鉄道が敷かれれば駅が、そして銀行・郵便局・警察署・学校・神社(および宗教施設)が入ってそのまわりに関係者が住み、在来市場がそのまま住民らの台所にもしくは新しく公設市場ができて、解放後の混乱、朝鮮戦争、とその後、そして現在という物語があるのです(このあたりはまだまだ勉強不足なので自分への課題でもあるのですがね)。

 


 

ちょっと通りを北上して慶山市場にやってきました。高さのある建物は視界に入ってこないので遠くの山並みがさらに際立って美しく見えます。駅降りたとき、振り返ったら山が大きくてきれいでびっくりしましたね。歩いている人がいません。こういうところを一人軒先の鮮やかな果物を眺めながら歩くと心が軽くなります、ちょっと寒かったけれど。

 


 

やや場末感の漂う市場10キルは、俗称テジ(豚)コルモク、テキサス(風俗店)コルモクなどと呼ばれ80年代までは西上キルと同様にぎわっていた通りです。西上キルに官公署が集まっていたのでそこで働く人たちが自然と集まったのでした。今はすっかりさびれてしまいましたが、一部は2010年に芸術プロジェクトが進められて壁画やオブジェを飾ったりして雰囲気が少し明るくなりました。

 


 

 


 

おなかもすいたのでせっかくですから、テジコルモクにあるテジクッパ(豚肉入りのスープ)の食堂でいただきます。テジクッパと言えば釜山ですが本当の元祖は慶山なのだという話を聞いたことがあります。タロクッパだったかしらん?後で調べてみましょうかね。また勘違いかもしれないですよ。

お店に入ると白い湯気がもうもうとしたその先で、おばあさんが三人豚肉をほぐしたり、包丁で切ったりしながらおしゃべりに花を咲かせていました。その様子が本当にかわいらしくてずっと見ていました。やわらかくてピンク色のゆで豚肉や内臓は臭みがなく、とても食べやすかったです。にらもシャキシャキと大変新鮮。

 


 

再び市場へ。

 


 

市場近くにあるピンクのこれまたかわいらしい建物。イルソン理容所とかいてあります。こういう手作り看板(壁にペイント)的なもの、愛おしいです。中に入りたかったです。

 


 

何か文字でしょうか、図案でしょうか。気になりますね。

 


 

一番見たかった建物までやってきました。精米所として1930年代に建てられたそうです。今は(?)お餅屋さんだそうで、営業はしていなさそうです。

 


 

今も住人がいるとのことですが、どうなのでしょう。精米所はいいですね。どの地方に行っても個性的な建物があります。精米所愛好家は結構いるようで(?)写真集もありますね。ここはなんといっても窓の並びがよいのと、(後から塗ったと思いますが)水色と青、そして錆び具合のバランスが素晴らしい。バランスがいいのですよ、バランスが。窓の大きさやドアの位置なども大変リズミカルなのですよ。

 


お隣にある南部自転車も手作り看板がかわいらしく、二階には自転車の不思議なディスプレイといいますかなんといいますか。

まだまだ写真も多いので今回はここまでにしておきます。中途半端な構成で申し訳ありませんが次回は残りの建物の紹介とコバルト鉱山の例の場所を。

 

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