安東・安東駅給水塔

慶尚北道の安東と言えば世界遺産に登録されている河回村(ハフェマウル)。朝鮮王朝時代の両班の子孫が、韓国の伝統家屋である韓屋に今も暮らしている村落です。今回は安東国際タルチュムフェスティバルを見にいく機会があったのですが、てっきり河回村に向かうものだとばかり思っていました。とても期待していました、河回村は本当に素敵なところですから。けれどもバスは市内のタルチュム公演場のほうに向かい(会場は河回村とタルチュム公園の二ヶ所なのだそうです)、一日をその会場周辺で過ごすことになったのでした。

 


 

市内にいるのだから、と自由時間にまずは安東駅に行くことに。給水塔があると聞いたことがあったからです。給水塔の場所をあらかじめ調べていなかったので、駅に行けばなんとかなるだろうと思っていました。洛東江に沿って東西に広がるタルチュム公園のエリアと駅舎の間には線路が横たわっており、陸橋や地下道のようなものが特になくかなり遠回りして駅方面に行かなければなりませんでした。現在嶋潭駅(忠清北道の丹陽)〜安東区間は複線化工事が進んでおり、安東駅は2020年までに廃駅となるそうです。

 


 

結構な遠回りをして駅までやってきました。さて、給水塔は駅から結構離れたところにあるもので、とりあえず駅員さんに聞けばいいやと駅舎の中へ。

 


 

駅員さんをつかまえ場所をたずねると、なんとタルチュム公園側にある道沿いのほうにあるというではないですか。いやあ、まったく気がつかなかった!

「どこから来たの?」
「ソウルです。給水塔見たくて…で祭り会場のほうだったんですね、わざわざ駅まで来てしまいました…」
「あっちに行くには線路を渡るしかないんですよねえ、給水塔は駅の敷地の中にあるし」
「遠回りして戻らなきゃいけないんですね、ああ…」
わざわざ遠回りをして駅舎までやってきた私を哀れ?に思ったのか、駅員さんは少し考えるようなそぶりを見せた後、ちょっと待ってというと駅員室に行き、1、2分ほどして戻って来ました。線路を一緒に渡りましょう、案内しますよとありがたいお言葉。

 


 

指差し確認をしながら線路を渡る駅員さんについていきました。胸元のバッジをみたら駅長さんでした。給水塔は保存状態がとてもよく、とても70年以上経っているようには見えません。ネット上の写真と見比べるとだいぶきれいなのでもしかすると、タンクを頭と例えたら下の体の部分は補修しているかもしれません。

 


 

安東駅は1930年に開業、給水塔は1940年に蒸気機関車給水施設として造られました。十二角形のコンクリート製、高さは約12メートル。あちこちに朝鮮戦争時の流れ弾跡が残っています。1967年まで蒸気機関車の給水塔として使われていたとのこと。

 


 

2003年1月に登録文化財第49号に指定。プレートがだいぶ傷んでいますね。

 


 

「この給水塔のことはあまり知られてないんですけどね、実はまだ使ってるんですよ、他のことにね。でも現役の給水塔って全国で唯一、安東駅だけだと思います」
ちなみに近くの駅、栄州の豊基駅の給水塔はきれいにペイントされ、地域の特産物である高麗人参の広告塔として現役ではありますね(だいぶファンシーな絵でしたね)。

 


 

給水塔の近くにある井戸だそうです。これも1940年当時からあるということ?
「車両整備場で車両を清掃するときに使う水、それをこの井戸を通って給水塔のタンクに揚げてから使ってるんですよ」
「へえ〜その井戸にためておく水ってどこから来るんですか?洛東江からですか?」
給水タンクへの揚水の意味がまずよくわかっていないので(安定した給水のための水圧確保らしいですね)、駅長さんのいっていることを最後まできちんと聞き取れませんでした。
しかし、整備場への水を供給していることは確かです。

 


 

 



 

整備場、というのがおそらくこの栄州車輌事業所のことをいうのでしょう。給水塔のある敷地は安東駅内なので出入りは禁止です。しかし、近くにタルチュム公園、古い平屋住宅街があるので行き来している人は多いようです。

 


 

帰りはその道から帰ってね、と言い残すと駅長さんは去って行きました。給水塔は今も現役という話を聞けてよかったです。

 


 

公園側からの給水塔への道。事業所敷地内となるので基本出入り禁止です(繰り返し)。

 

 


 

いやはや、木に隠れてまったく気づきませんでした。現在の安東駅および周辺は、廃駅後緑化公園にする予定だとネット記事を読みました。

もちろん安東に来たら河回村、美しい月映橋など安東らしい観光地に行くのがよいでしょう。けれども安東旧市街にはいろいろな時代の痕跡が残っていて、こぢんまりとしていながらも見所の多いところでした。いろいろな時代の痕跡が点在していました。ところで、この記事を前もって見ていたらもっと街歩きが楽しくなったのになあと残念でなりません。何も調べないで適当に歩いても十分楽しかったのですから事前に少し調べておけばなあ。
急ぎ足で次に向かったのは安東教会です、次回に続きます。

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