大邱・cafe三徳商会

このカフェ三徳商会もまた、実際行ってみて建物の魅力をさらに知るという好例。驚きました、一軒だけこぢんまりとした日本の店舗建築で、工具関連の店がだだーっと並んでいるのです。訪れた日は日曜日、店はほとんど閉まっていて、いきなりこのように木がにょきっとはえている、そんな通り。白昼夢を見ているのではないかと思うくらい、不思議な雰囲気に包まれています。

 

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大邱(テグ)の北城路(プクソンノ)という通り、大邱駅からすぐです。日本統治時代には元町と呼ばれ、とても栄えていた商店街でした。現在は工具街として知られており、大邱の歴史街歩きの地図にも登場します。北城路については、ストーリーがたくさんあるので次回に改めて紹介します。

 

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cafe三徳商会(サムドクサンフェ)は、2011年10月にオープン。大邱に住む建築家や研究者らで構成された「大邱再発見」という民間団体による、まち作りプロジェクトの一つとしてできた空間です。工具街としても少々さびれつつある北城路の、通りとしての価値を見直すことでまちの再生を図るというコンセプトで始まったのですが、それは商店街として栄えた元町の歴史を見つめることでもありました。
1930年代に建てられたこの建物は、1階が店、2階が住居という典型的な店舗建築です。1953年からはチョルウォン(鉄元?鉄原?)商会という金物屋さんが入り、その後は三徳商会という工具資材の店が入って営業していました。

 

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建物の老朽化により運営が難しくなり、しばらく空き家となっていたのですが、そこに目をつけたのが「大邱再発見」のメンバーたち。大邱市の助成金などをもらって家を借り上げリノベーション。日本家屋時代の家の構造を大事にしつつ、ところどころに現代的な感覚を生かした、けれどもどこか温かみのあるカフェができあがりました。

 

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バラバラの椅子が雰囲気いいですね。

 

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仁川にあるcafe pot-Rと同じ構造で、横の通路を進むと奥に庭があります(写真は庭側から見たもの)。左側の部屋が厨房になっています。

 

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庭にある階段を上って再び部屋に入る感じです。このアプローチの部分がとても現代的に仕上がっていて素敵です。かなり狭いスペースなのですがね。1階厨房奥のアーティスト作業場?らしきスペースが少々雑然としていたのと、建物の裏側が整理されていなくてちょっと、あれ?と思いましたがそれは私のチェックが必要以上に厳しいからでしょう、多分。

 

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2階はセピア色の、どこか懐かしい雰囲気で統一されています。1階で注文をして、その場でものを受け取って自分で運ぶスタイルです。

 

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道路に面した部屋は畳が敷いてあってまったりできます。扉に貼ってある紙の切り絵のような模様、これは江華島(カンファド)の朝陽紡織工場跡と同じもののような?うーん、気になります。畳部屋は人気みたいですよ。しかし入口も窓も畳も小ぶりですね。ザ・昔の日本家屋という感じですね。

 

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畳部屋にはなぜか、アンティークな李朝家具にポジャギ(韓国のおしゃれな伝統的ふろしき)が。それもまたいいですね。招き猫があるよりは趣味がいいかも、とここで突っ込みをまたしてしまいました。こちらはパッピンス(かき氷)をかなりおすすめしてましたね、一年中食べられるのですかね。注文したアイスバニララテはまあまあのお味でした。

 

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店内に大邱で活動するアーティストの作品などを無料で展示したり、畳部屋をセミナー室として使ったりと文化交流の場として、北城路の活性化という目標に向かって地道に活動を続けています。ソウルの文来洞(ムルレドン)の鉄工場(こうば)に、アーティストが住んで活動しているのに近いかな?北城路には日本家屋が多く残っており、「大邱再発見」プロジェクトは、あと数軒、このカフェのようにリノベーションして文化空間を作ろうと計画を立てているそうです。

 

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民間の任意の団体で動いているので大邱市や中区庁が直接関与することはありませんが、そんな活動を見守っているという感じです。ところで大邱市や区による近代歴史の観光資源化、充実したコンテンツには感動しました。看板や観光案内所でもらえるパンフなどしっかりしていましたし(何もわかってないぬるい自治体!と批判的な声ももちろんありますが)。
とかく近代の歴史は、否定的でマイナスで収奪に蛮行に…と暗い面を強調し、独立、一生懸命闘った義士・烈士万歳!となりがちなのですが、大邱のそれはとても客観的。感情的で圧迫感のあるものはあまり見られませんでした。自治体によりますが仁川や大邱は結構前向きでないかと。

ま、これはあくまでも個人的な感想です、たまたまそういうものだけを見ていたかもしれないし、このへんでごにょごにょ…。

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