東大門・旧徐産婦人科医院

地下鉄2号線東大門歴史文化公園駅の3番出口を出ると見えるその建物は、建物というよりは大きな白いコンクリートの塊のように見えます。 韓国でも大変有名なモダニズム建築家金重業(キム・ジュンオプ、 1922~1988年)が設計した個人病院です。産婦人科医院長であった徐(ソ)・ビョンジュン(他の名前の検索結果も出ます、どちらかはわかりませんでした)氏の依頼を受け1966年に竣工。産婦人科、生まれてくる赤ちゃんという生命を意識して女性の子宮をイメージして設計したといわれています。 廃院後は様々なお店が入り、そのたびに少しずつ形態が変わっていきましたが、2011年6月に訪れた際はリニューアル工事がちょうど始まっていて、「アリウム」「1nc」という印刷物デザイン・印刷会社が入りました。   101130_022   病院時代の建物。写真はこちらより。なんてモダンな病院でしょうか!     P1040677-1   地下1階、地上5階建て。いわゆるコンクリート打ちっぱなしの建物で、ところどころの曲線や植物の茎をイメージさせる柱など独特な形がとても印象的。金重業の造形感覚が生かされた、保存価値の高い建物と評価されていますが、今のところ普通の商業ビルとして静かに存在しています。現在は水性ペンキで真っ白に塗られており、黒い汚れが逆に目立ってしまって少々見た目が悪いのですが、それでも道路を挟んで反対側から全体を見ると、これはただものではないな!と思わずにいられません。     P1040678-1   階段もよくみればとても素敵です。     20140115_195207   金重業が韓国の建築界でどれだけの巨人ぶりか、金寿根(キム・スグン)と比較しながらご紹介したいのですが、今回は軽めに。上の写真をごらんください。後列のめがねをかけた男性が金重業です。前列いちばん右の男性は、世界のモダニズム建築の巨匠であるル・コルビュジェ(1887~1965年)。海外渡航が難しかった時代、詩人という身分でフランスに渡り、建築と都市計画を学んだ金重業。彼がコルビュジェからいかに大きな影響を受けたかは、1965年に帰国後の作品を見れば容易に知ることができます。蘇産婦人科医院は、小ぶりながらも遠く韓国でモダニズム建築を根付かせた金重業の腕が光る秀作といえます。 ル・コルビュジェについては、私がここで語る知識を持ち合わせておりませんので、よくわからない方はご検索のほどを。   P1040672-1   中は気軽に入れる雰囲気ではありません。1階は「アリウム」という印刷物デザイン会社です。たまたま名刺が必要でしたので、サイトから注文し訪問受け取りで入ることにしました。そこまでする自分、いったい何のために…(笑) ちなみに「アリウム」の名刺はとってもセンスよく、韓国語がお分かりの方であればこちらでつくってみるのもおすすめです。 ガラスドアを開けて中に入ると、二人の女性がマックとにらめっこ中。フロア全体は白と黒で統一された、とってもシンプルなショールームになっていました。驚いたのは床面です。病院時代のがそのまま残されているようです。うねうねと曲線を描いているではありませんか、価値があると残してくれたのでしょうか?   P1040674-1   無事名刺を受取り、ちょっと中を撮らせてもらえないかとお願いすると1階のフロアのみがOKとのこと。2階からは作業場なので撮影はできないとのことでした。フロアの奥にはやや傾斜のあるスロープが。建物全体が子宮なら、これはもしかして産道ではない??   P1040673-1   子宮から産道をとおって光ある世界へ向かいます。あくまでも私の勝手な想像です。「青春男女 100年前の世界を歩く」の著者であるイェソンさんは病院の平面図を見て、これは子宮というよりは男性のモノそのものではないの??とおもしろい発言をしています。ブログはこちら。 男性のモノだとしたら、このスロープはどこにあたるのでしょうかね。   P1040675-1   ガラス窓から冬の光が差し込んできます。   P1040681-1   産道の入り口は外からも入れるようになっており、2階へと続く階段があります。   P1040671-1   ほかの階が見られないのは残念でしたが、シンプルなデザインの素敵な名刺が手元に。思い通りの仕上がりで満足しています。      

9 Comments
  1. 本当に垢抜けた素敵な名刺ができましたね。次にお目にかかるとき一枚いただけますか?
    ビルの中に入りたいから私もここで名刺作ってもらおうかしら?

    • ありりんさん
      はい、とっても気に入っております。シンプルなのですけれどもあればいいかなと思いまして。
      機会がありましたらぜひ!日本語・漢字の対応も聞いておきたいですね!

    • ありがとうございます、蘇は소だと友人から教えていただきようやく気がついた次第です。おっしゃるとおり徐の漢字ですね。
      ご指摘いただき助かりました。
      ありがとうございました。

  2. この近くの東横インには何泊もしているのに、いつも反対側の4番出口を利用していたので、こっち側には行ったことがなく、行っていればきっと気付いていたでしょうね、この変わった建物。それにしても「青春男女100年前の世界を歩く」ですか。韓国の本や映画や音楽、感覚が面白いのと、題の付け方が私から見ると奇抜で、今度韓国に行ったら本屋さんをゆっくり歩いてみたいのですが、辞書を片手にウリマルを読むのが遅すぎて(涙)。。。りうめいうるさんはたぶん国際結婚されて韓国に住んでいらっしゃるんですよね。韓国との付き合いはもう長いみたいなので、言葉の問題はなさそうですね。またこのブログで新しい発見をさせていただきます。

    • 山菜ナムルさん
      韓国の本屋に行かれたら、ぜひチェ・イェソンさんの本を。この本が出る前は建築の専門家が書いた専門書のようなものが多く、私のような素人が近づきがたいものがありました。イェソンさんの本は建物にまつわるエピソードや、その建物のある風景について味のある文章を書かれていて、大変感銘を受けました。何より写真がステキです。

      日本語を使うことの多い日常のため、韓国語は日がたつにつれ話せなくなってきております。テレビも映画もあまりみてないですね、何か意識して勉強しなくてはと最近思っております。

  3. 建物に関しては今までぜんぜんといっていいほど興味ありませんでした。でもこのブログを見て、ああこういう視点で見ているのかと私も興味を持った次第です。(ほんの少しだけしか分かっていないと思いますが)。チェ・イェソンさんの本ですね。すみませんが、韓国語ではどう書くか教えていただけますでしょうか。味のある文章見たいです。でも、その文章も韓国語ですよね、きっと。

  4. 追伸
    あ、ホームのところに紹介してあった古い風景のブログの方ですね。そちらで名前を確認いたしました。すみません!軽く質問しすぎですよね(笑)。こちらの文章でどんな感じか読んでみます。

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