南営洞

地下鉄1号線南営駅、4号線淑大入口駅近くにある南営洞(ナミョンドン)。1906年から1945年にかけて、日本によって作られた朝鮮駐屯軍兵営施設の一部を1920年代に整備してできた町であったため、かつては練兵町と呼ばれていました。南営洞という町名は朝鮮王朝時代に兵営があったことに由来し、1946年につけられたものです。現在の南営洞は飲食店、住宅、モーテルなどが雑然と並んでいるイメージがありますが、アメリカ軍用地のすぐ横にあるので再開発が制限されており、練兵町だった頃の当時の面影があちこちに残っています。

■1920年前半に一大市街地を形成
南営洞を地図で見ると、大変きれいな長方形で整然とした区画になっているのがわかります。1920年はじめ、龍山練兵場(後に野砲兵第26連隊と変更)の土地の一部が住宅・商業地として整備されたようです。



※地図はソウル市地図図書館サイトよりキャプチャー

1921年から23年にかけて京城府(現在のソウル特別市にあたる日本統治時代の朝鮮の行政区域)の住宅難を解決すべくたくさんの家が建てられました。『龍山管内大正十年中の建築は新築三百七十三棟改築三十二棟増築百二十七棟を算し其中に練兵町の新築が最も旺盛でその数は二百戸以上に達し新たに一市街を形成するに至り…(東亜日報1922年11月4日の記事より)』とあるように、練兵町が急速に発展していったようです。その中には官吏らも住む府営住宅もありました。京城府管內図には“府員住宅”という表記が見られ、1936年発行の『大京城府大観』という絵地図には18棟の家が描かれています。その府営住宅の建物と思われる建物が集まっているところがあるのでぜひ探してみてください。

 



■南営アーケード、元は龍山公設市場

南営洞には、南営アーケードと呼ばれる在来市場があります。中に入ると米や卵を扱うお店や雑貨店が数軒営業しているのみで、シャッターが閉まっているところがほとんどです。市場内で何度か火事があるたびに増改築され、現在のような姿になりました。1970年代までは多くの人で賑わい、市場で一儲けして出て行く商店もたくさんあったそうです。



この市場の前身は、練兵町とその周辺に住む日本人が増えたために開設された龍山公設市場(後に龍山日用品市場と改称)です。市場は1922年10月にオープンしたものの、火事で一部焼失し、その後1923年12月15日に現在の場所に再建され現在に至ります。



■隠れた名店で食事はいかが?

在韓日本人の間でよく知られている “つくし”は、うどんやとんかつ、さしみなど日本の料理とお酒が楽しめるお店です。こちらのお店の二階には床の間と思われる空間があり、日本家屋だったことが想像できます。“つくし”の裏側に回ってみると、古い木枠のガラス窓、シートに覆われた屋根が見えます。四月に訪れたのですが、桜の花のつぼみがふくらんでいました。桜の木は樹齢はそんなに経っていないと思われます。



韓国の米軍基地周辺にハンバーガーや部隊チゲ(肉、野菜、豆腐、ソーセージまたはスパムなどを入れて辛めの味付けで煮込んだ鍋料理の一種)の専門店が軒を連ねることが多いですが、南営洞にはステーキ専門店が並んでいるのが特徴です。南営洞のステーキは、アルミホイルを敷いた鉄板の上で一口サイズに切った牛肉、ソーセージ、ベーコン、野菜を一緒に炒めて食べるモドゥムステーキが看板メニューです。

“トルボ”は韓国のマスコミにたびたび登場する有名店。中はだいぶ改築されているものの外観は日本家屋で目を引きます(ステーキを食べずに骨付き肉のスープを簡単にいただきました)。“口福マンドゥ”は、本格的な餃子や小籠包がおいしい中国家庭料理のお店。こちらはフランスのミシュランガイド2017年ソウル版にひとつ星のお店として掲載され大変話題になり、行列を覚悟することも。

 





<お店情報>
■つくし
住所:ソウル市 龍山区南営洞89−7
서울시 용산구 남영동89−7
電話番号:02-755-1213

■トルボ(털보)
ソウル市 龍山区南営洞15-1
서울시 용산구 남영동15-1
電話番号:02-793-0606

■口福マンドゥ(구복만두)
ソウル市 龍山区南営洞3-4
서울시 용산구 남영동3-4
電話番号:02-797-8656

(※2017年11月現在)

 

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